高度腎機能低下患者においては処方薬の用量が過量投与にも投与量不足にもなりかねないため、調剤時に腎機能と投与量の評価を行うシステム(腎機能チェック)を導入することで処方の適正化を目指すことができる。今回、高度腎機能低下患者において腎機能チェックを行うことでどの程度適正化が進んだかを検討し、腎機能チェックにおける効果を検討した。対象は当院の腎機能チェック薬剤の中でも処方の多かったシタグリプチン錠、レボフロキサシン錠、ファモチジン錠/散について腎機能チェックが導入される前の処方と導入された後の処方で比較した。検討する項目は処方数、透析患者における適正使用率、非透析患者における適正使用率、投与量過量率、投与量不足率の5項目を中心に調査した。結果は腎機能チェックを導入することで処方の適正化を目指すことができることが判明した。しかし、薬剤によっては問題点も発生した。シタグリプチンは外来にて過量投与されていた持参薬を入院中に使用する際に、過量投与のまま入院中に継続されることもあった。また、レボフロキサシンはローディングがされておらず、投与量不足が発生する傾向にあった。上記の問題点より以下の改善案を考察した。持参薬の続行指示がある場合、薬剤師が積極的に入院持参薬処方を行うことで持参薬による過量投与を防ぐことができると考えられる。またCKDシールの活用などの薬薬連携を推進することで、より持参薬の過量投与抑制を期待できる。投与量不足の処方に対しては薬剤師による処方変更が有効であると考えられる。ただし薬剤師が処方を行うことに対してはあらかじめ医師との協議が必要である。そしてプロトコールに基づく薬物治療管理を行うことで処方の適正化を目指し、さらにはタスクシフティングによる医師の業務軽減も期待できる。