2013 年 2 巻 1 号 p. 17-21
シクロスポリン(cyclosporine A,CyA)とシクロフォスファミドにて治療中の成人Still 病の57歳の女性患者において、発熱症状に加えて血中β-D-グルカン値の上昇とアスペルギルス抗原陽性を認めたため、真菌感染症の発症を疑い、リポソーマルアムホテリシンB(liposomal amphotericin B, L-AMPH-B)を投与したところ、血清クレアチニン値とBUN値の急激な上昇を生じた。それ以降、両腎機能マーカーとも基準値を超える値が持続した。急性腎機能障害の発症原因はCyAとL-AMPH-Bの併用が原因であり、その後の腎機能の低下はCyAに起因すると考えられた。以上より、CyAの治療を受けている患者へアムホテリシンB を投与する場合は、腎機能のモニタリング回数を増やし、必要に応じてCyAを減量しなければならない。