日本鳥学会誌
原著論文
茨城県南部におけるヒヨドリの営巣密度予測と環境利用
山口 恭弘斎藤 昌幸
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58 巻 (2009) 2 号 p. 179-186

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抄録

ヒヨドリHypsipetes amaurotisの営巣密度を推定するために,茨城県南部において南北36 km,東西18 kmの地域を調査範囲とし,ヒヨドリのさえずり場所を調査した.なお,ヒヨドリは明確にさえずりと区別できる音声を持たないが,繁殖期の早朝,梢など見晴らしのよいところで,大きく高い音声を長く出しており,そのような音声をこの論文中ではさえずりとし,その地点をさえずり地点とした.調査範囲内に設定した32の1 km四方の調査グリッドにおいて,540のさえずり地点を確認した.ポアソン回帰分析を用いてヒヨドリの生息密度に及ぼす環境要因を調べると「森林」,「畑地・草地」,「市街地」が選択され,「水田」は選択されなかった.構築されたモデルよりヒヨドリのさえずり個体数は,調査範囲で12,317個体,密度は19個体/km2と推定された.ヒヨドリは一夫一妻で主にオスのみがさえずることから,これらを2倍した繁殖個体数は24,634個体,密度は38個体/km2と推定された.土地利用割合に基づくクラスター分析により調査範囲を5つに類型化すると,ヒヨドリの推定営巣密度が最も高くなったのは,(1) 森林が優占するクラスターのグリッド(65.4個体/km2)であった.以下ヒヨドリの推定生息密度が低くなる順に,(2) 市街地が優占するグリッド,(3) 畑地・草地が優占するグリッド,(4) 水田が優占するグリッド,(5) 水域が優占するグリッドとなった.対象地内の市街地や畑地・草地にも樹木が見られることから,ヒヨドリの営巣場所選択においては,樹林地の面積割合と樹木の存在が重要であることが示唆された.

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© 2009 日本鳥学会
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