石川県金沢市において1991-2001年に,ホオジロの年間を通した終日観察をのべ158日間行い,雄の囀り回数を記録した.同一個体で囀り回数が減少傾向に変化した時期は,春期のつがい期と巣内育雛期だった.一方,増加傾向に変化した時期は,造巣期と巣内育雛期後の独身期だった.秋期の独身期の換羽中は,直前の8月上旬から中旬と比較すると,4例すべて90%以上減少した.年間を通して囀り回数は時期によって大きく変化し,また,同一の繁殖ステージ内でも囀り回数が大きく違う日が多かった.雌の存在や雌の行動,各繁殖ステージにおける雄の役割が,以上のような本種の囀り頻度の差異に影響を与えている可能性が示唆された.