2019 年 68 巻 1 号 p. 29-41
バイオロギング手法は海上での外洋性の海鳥の行動を連続記録する唯一の方法である.ミズナギドリ目の海鳥の多くは海表面で採食するため,移動速度をつかってその着水・採食が判定されてきたが,精度の検証はおこなわれていない.本研究は,鳥島で育雛中のクロアシアホウドリ2個体,計213時間の採食トリップ中の移動速度をGPSロガーで,首の角度と卓越周期の振幅を加速度ロガーで測り,着水と採食の判定を行った.また,日中,カメラロガーで1–2分おきに得た静止画像を使って,これらの精度を検証した.着水と判定された画像(真の着水)のうち速度でも着水と判定された割合は69–87%だったが,首の加速度では100%に上がった.イカと思われる大型の餌生物を食べたと判定された画像を含む一連の着水(真の採食)が10回あった個体では,うち8回が首の加速度からも採食と判定された.もう一個体は真データが2回しかなく,加速度からの採食判定の信頼性は低かった.加速度から着水バウト(一連の着水行動)と採食を判定して分析したところ,採食を伴う着水バウト長(6.9–16.9分)は採食を伴わない場合(3.4–8.0分)より長く,採食を伴う着水バウトは昼によく見られたが(0.4/h),薄明薄暮では時々(0.2/h),夜にはまれに(0.1/h)観察された.本研究は,個体数が少なく日中の真データしかないという不確実性があることに注意しなければいけないが,首の加速度測定により,クロアシアホウドリの着水と採食行動が検出できる可能性を示した.この手法によって大型の表面採食性海鳥種の採食生態の理解を深めることができることが示唆された.