日本鳥学会誌
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原著論文
北海道におけるカラス類の電柱への営巣:撤去にかかるコストの算出と営巣数の多い地域の環境要素の解析
藤岡 健人森本 元三上 修
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2021 年 70 巻 2 号 p. 125-130

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抄録

都市部に生息するカラス類は電柱に巣を作り,それが原因となって停電を引き起こすことがある.電力会社は,停電を未然に防ぐために,多大なコストをかけて見回りをし,巣を取り除くことをしている.北海道電力株式会社から2014年から2018年における事業所別のカラスの巣の撤去数を提供してもらい,次の2つの解析を行った.まず,巣の撤去に要する時間的コストを算出した.その結果,北海道電力全体で1年間に要する時間的コストは19,656時間と推定された.次に,どのような地域でカラスが電柱によく巣を作っているかを解析した.その結果,人口が多く,気温が高く,海岸線の長さが長い地域で,営巣数が多いことが明らかになった.今後,これらの要因が,どのようなメカニズムでカラス類の営巣数を増やすかを明らかにすることで,飛来防止装置の配置や巡視のルートの最適化などの対策に貢献できると考える.

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