北海道天売島の黒崎海岸において,2019年にオオセグロカモメLarus schistisagusによる捕食がウミネコL. crassirostrisとオオセグロカモメの雛の巣立ち成功に与える影響を調べた.オオセグロカモメ10巣から採集したペリットと食い残し(n=346サンプル,巣あたり10–140サンプル)中に含まれる海鳥残滓の出現率は平均47.5%であったが,そのうち3巣での出現率は66–90%と平均より高く,これらを海鳥捕食者巣とした.隣接するウミネコ繁殖地を直接観察した結果,海鳥捕食者巣のオス3個体が捕食行動の76%を占めた.このうち,オス2個体は調査区内のウミネコ巣内雛・巣立ち雛の21%,オオセグロカモメ巣内雛の24%を捕食した.ウミネコにおいては,産卵日がより遅く,海鳥捕食者巣により近い巣の巣内雛ほど捕食に対して脆弱である傾向があったが,巣立ち雛ではこれらの影響はみられなかった.本研究は,ウミネコの巣立ち成功を決定する上で,オオセグロカモメの海鳥捕食個体が重要であることを示す.