抄録
筆者は,前報(1976)で,ジュウシマツの親鳥がヒナにに与える種子(アワ)と緑葉(キャベツ)の量が,ヒナの生長とともにどのように変化するかについて,報告した。本論文では,親鳥がヒナの食物を採るために費やす時間について,報告する。
親鳥が乾重1gのむきアワを採る時間は,15.3分であった。また,乾重1gのキャベツを採る時間は,162.6分であった。
ヒナに与えられるキャベツの量が育雛中期以降減少するために,1日当りの給餌量(アワとキャベツを合計した量)自体は増えているにもかかわらず,親鳥によってヒナの食物を採るために費やされる1日当りの時間は,孵化後13日目頃から増加しなかった。
両親が抱雛と彼ら自身のための食物採集に費やす時間が求められた。それ以外の活動に使える時間のうち,ヒナの食物を採るために費やされる時間の割合は,孵化後4~5日目頃からほとんど増加しなかった。