日本鳥学会誌
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飼育下におけるクマグラの成長
松本 光二
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1987 年 35 巻 4 号 p. 155-164

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抄録

1) 1984年6月13日,北海道中川郡音威子府村字物満内の山林において,ふ化後1-2週間と思われるクマゲラのひな2羽を保護し,7月22日まで40日間飼育した.
2) 餌はエゾアカヤマアリの幼虫•さなぎ•成虫と牛肉の赤身を与えた.
3) 体重は飼育開始時は各140,150gであった.40日目には260,280gとなった.ただし,13-22日目には体重の増加が認められなかった.
4) 翼長は各々110.116mmであった.40日目には225,235mmとなった.ただし32日目以降伸びはみられなかった.
5) 飼育10日目には,身体の翼基部裏面を除いて全身が羽毛で被われた.頭部の変形および頭頂部赤色斑の形状変化は10-13日目に著しかった.
6) 行動の変化では飼育10-11日目に飼育箱内壁面に止まり,12日目からはばたき行動を行なうようになり,18日目には飼育箱から飛び出し,35-37日目には飲水,水浴び行動を示した.また光の明から暗への変化が餌ねだりを誘発した.鳴き声の変化は10-11日目,14日目,21日目に起こった.

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