日本鳥学会誌
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ホオジロ Emberiza cioides の囀りに関する研究
明石 全弘山岸 哲
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1987 年 36 巻 1 号 p. 19-45

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抄録

1)1980年4月-6月に,大阪府信太山丘陵で,ホオジロの囀りについて調査した.
2)調査方法は,特定の個体を終日追跡し,囀りを全種類録音し,サウンド•スペクトログラフで分析した.
3)1個体がもつシラブル数は平均65.9±8.9種類で,隣接個体間で同一シラブルを多く共有する傾向があった(Tables1,2;ApPendixes1,2).
4)個体によって囀りの最初に使われるシラブルは異なっている傾向があった(Fig.2).
5)1つのソングの長さは,個体により平均0.9-1.4秒で,1つのソングに含まれるシラブル数は平均6.4-9.6個であった.また1個体がもつソングタイプ数は平均16.1±2.5種類であった(Table3).
6)1つのバウトは平均22.7-35.5個のソングからなり,ピッチは平均7.8-12.6ソング/分で囀った(Table4).
7)囀りの頻度は独身雄が番い雄よりも高かった.また繁殖ステージでは,抱卵期が最も良く囀り,育雛期になると日中はほとんど囀らなかった(Fig.4).8)日が進むとソングタイプは僅かに変化した(Fig.6,ApPendix3).
9)ソソグエリアはほとんど重複がなかった(Figs.8,9).また特定のソングポストで特定のソングタイプを用いるという傾向はなかった(Table5;ApPendix4).
10)使用するソングタイプの繰り返しを避ける傾向があった.また早朝に多くのソングタイプが使われていた(Tables5,6;Fig.10;ApPendix4).
11)1個体のもつ全ソングタイプを記録するには,早朝から2時間観察すれば良い(Fig.11).

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