日本鳥学会誌
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セイタカシギの行動社会学的研究
III.雌-雌つがい
北川 珠樹
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1988 年 37 巻 2 号 p. 63-67

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抄録

1) 市川市行徳鳥獣保護区内に1988年5月から6月にかけてセイタカシギHimantopus himantopus himantopus 25個体が現れ,そのうち正常つがい8組と5羽3組の雌同士のつがいが形成された.
2) 雌一雌つがいの一つがい目は初回の産卵で8卵,ヘビによる捕食後の再営巣で7卵を産んだ.
3) 雌一雌つがいの二つがい目は途中でつがいの相手の変更が生じ,その結果,新しく形成された雌一雌つがいの三つがい目はその後4卵を産んだ.
4) 雌一雌つがいの産んだ19卵のうち3卵は未受精であることが確認されたが,残りについては外敵の捕食により未確認となった.
5) 関与した三つがいのうち,3羽は雄的に,2羽は雌的に行動した.
6) 性比が雌に偏った時の,雌同士の番いの意義について触れた.

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