日本鳥学会誌
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日本におけるカッコウの托卵状況と新しい宿主オナガへの托卵開始
中村 浩志
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1990 年 39 巻 1 号 p. 1-18

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抄録

文献調査および野外調査により,日本でカッコウに托卵された記録のある宿主,本州中部におけるカッコウの托卵率,および新しい宿主オナガとの托卵関係成立過程についての調査を行った.
1)日本ではこれまでにカッコウの宿主は計28種記録されている.宿主の数は,本州中部が20種と最も多かった.
2)本州中部の長野県では,主要宿主6種の托卵率はいずれも10%以上であった.最も高い托卵率は,新しい宿主オナガの79.6%であった.
3)カッコウ宿主との托卵関係は,過去60年間に大きな変化がみられた.本州中部ではカッコウは約15年前からオナガに托卵を開始したが,托卵率は急速に高まり,現在ではオナガの繁殖分布域のほぼ全域にカッコウの托卵が広がった.逆に,今から60年前の主要宿主であったホオジロは,現在ではまれな宿主に変った.
4)新しい宿主オナガへのカッコウの托卵は,最近両者が分布を拡大し,分布が重った結果開始された.カッコウの托卵は,分布が重なってすぐに開始されたのではなく,多くの地域では本格的に開始されるまでには10年から15年かかっていた.
5)長野県におけるカッコウの托卵にみられる特徴と新しい宿主オナガとの托卵関係成立過程についての論議を行った.

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