日本鳥学会誌
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形態測定値の判別分析によるイワヒバリの年齢判定
中村 雅彦
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1990 年 39 巻 1 号 p. 19-24

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抄録

1)イワヒバリの1齢個体と2齢以上の個体を判別するため,複数部位の外部形態測定値に基づく線形判別分析を行った.
2)1985-89年の5月17日から6月15日の期間,乗鞍岳の山頂部に生息し,すでに年齢がわかっている148個体について8部位の形態を測定した.
3)雌雄とも2齢以上の個体は1齢個体に比べ体重は重く,翼長と尾長も長かったのに対して,附蹠長,嘴峰の3部位および全頭長は年齢とともに上昇することはなかった.
4)体重(BW),翼長(WL)と尾長(TL)を説明変量に用い変数増減法に基づく判別分析を試みた.その結果,得られた最終判別式は以下の通りである.
雄:Z=0.592WL+1.008TL-131.330
雌:Z=0.411BW+0.504WL+0.353TL-87.300
年齢クラスは判別値(Z)より,Z<0なら1齢個体,Z>0なら2齢以上の個体と分類された.
5) 判別分析は,信頼性と客観性において有効な年齢査定法であることがわかった.判別式によって,雄は95.2%(78/83),雌で86.2%(56/65)の個体の年齢を判別することが出来た.これらの判別率はひとつの形態部位の測定値を用いた判別分析による判別率より高かった.

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