抄録
キニーネ,サッカロースオクタアセテート(SOA)に対するキジバト5羽の反応を,2皿選択実験によって調べた.
1.小麦粉を付着させただけの対照餌をおいて,餌場間の選択実験を行ったところ,2羽では差はみられなかったが,3羽では餌場選択実験3回中2回(67%),10回中7回(70%),7回中2回(29%)で,場所間に差がみられた.これら3羽のうち前2羽は,差が認められた場合,同じ餌場での採食量が多かったが,後1羽は選択した餌場が異なっていた.
2.にがみ物質を付着させた処理餌と対照餌との選択実験では,にがみ物質の量を少ないところから始めて次第に多くしていくとある量でキジバトは処理餌を忌避するようになった.また,その付着量から再び次第に少なくしていくと,今まで反応しなかった少量のにがみ物質にも反応するようになり,さらに量を少なくしていくと反応しなくなった.反応を示した付着量は個体によって異なっていた.1羽の個体は,キニーネには反応したが,SOAには反応しなかった.
3.キニーネとSOAを比較すると,キニーネの方がSOAより少ない量でキジバトに反応を起こさせる傾向が見られた.
4.臭いによって餌を忌避しているかどうかを確認するための選択実験を行ったところ,反応はみられなかった.
5.通常キジバトがあまり採食しない餌と,キニーネ処理餌の選択実験では,3羽中2羽の個体が処理餌を選択した.
6.以上の結果から,キジバトはにがみ物質に対して反応すること,しかし,その忌避反応は絶対的なものではなく,相対的なものであることが明らかになった.