日本鳥学会誌
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農耕•住宅地域におけるアカゲラとコアカゲラの営巣条件
山内 可奈子山崎 里実藤巻 裕蔵
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1997 年 46 巻 2 号 p. 121-131

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抄録

北海道帯広市の住宅地の公園や農耕地内の残存林など11か所で,1993年の4~9月にアカゲラとコアカゲラの生息状況と生息地,営巣木,巣穴の特徴を調査した.アカゲラの1調査(30分)当たりの観察個体数と営巣数は緑地面積が大きくなるほど多くなったが,コアカゲラではそのような関係は見られなかった.巣立日はアカゲラで6月23日~7月25日,平均7月2日,コアカゲラでは7月3日~7月20日,平均7月11日でアカゲラより遅かった.営巣木の樹高,巣地上高,胸高直径,巣穴位置の幹直径の平均値はアカゲラでそれぞれ13.6m,3.7m,35.7cm,28.2cm,コアカゲラで8.0m,3.0m,11.0cm,26.6cmであった.アカゲラの営巣木は生立木,枯死木がほぼ同数であったが,コアカゲラは枯死木だけに営巣していた.農耕•住宅地域でこれら2種の営巣環境を保全するために,小面積の孤立林,枯死木を残す意義がある.

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