日本評価研究
Online ISSN : 1884-7161
Print ISSN : 1346-6151
ISSN-L : 1346-6151
特集:エビデンスに基づく実践の世界的動向と日本における取り組み
教育におけるエビデンスに基づく政策
新たな展開と課題
岩崎 久美子
著者情報
ジャーナル フリー

2010 年 10 巻 1 号 p. 1_17-1_29

詳細
抄録

エビデンスの概念は、わが国の教育分野では、一般的に知られているとは言い難いが、昨今、「エビデンスに基づく政策」(evidence-based policy)という言葉が政策を論議する文献等で多く散見されるようになってきている。本論では、このような背景にあって、第一にコクラン共同計画やキャンベル共同計画が基本とする、ランダム化比較試験(RCT)の系統的レビュー(メタ・アナリシス)で産出される厳密な定義でのエビデンスを中心に、産出、普及、活用の上で生じる課題を明らかにする。第二に広義の科学的根拠という意味で、経済協力開発機構(OECD)が、近年「エビデンスに基づく政策」という言葉を用いて政策提言を積極的に行ってきている背景を人的資本論に基づきながら論じる。そして、最後に教育におけるエビデンスに基づく政策についての方向性を示唆する。

著者関連情報
© 2010 日本評価学会
前の記事 次の記事
feedback
Top