日本評価研究
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研究ノート
地方自治体へのバランスト・スコアカード適用に関する研究
「財務の視点」に着目したフレームワークの検討
佐藤 幹
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2010 年 10 巻 1 号 p. 1_95-1_105

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抄録

バランスト・スコアカード(BSC、本文参照)は米国等の地方自治体では普及しているが、日本の地方自治体での適用例は少なく、かつ継続されていない。日本では「財務の視点」を民間企業におけると同様な取扱をしており、そこに無理があると思われた。そこで「財務の視点」に焦点を当てBSCのフレームワークを検討した。
民間企業の「財務の視点」の指標を整理した結果、その多くは株主満足を志向する企業の業績や成果を財務情報で表わすものであった。日本の地方自治体では、「財務の視点」の指標は財務情報による業績や成果を表すものではなく、財政の健全化を表すものがほとんどであった。また、米国等の地方自治体のフレームワークは民間企業のものとは異なっていた。
地方自治体の業績や成果を貨幣測定し財務情報で表すことは困難であり、一方、顧客である住民の福祉の向上のために、業績や成果を非財務指標で表すことが求められることから、「財務の視点」と「顧客の視点」を統合して、視点を3つとするフレームワークを用いるべきではないかとする仮説を導いた。

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© 2010 日本評価学会
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