抄録
利害関係者が評価プロセスに参加する参加型評価は、評価の質を高めプログラム改善に効果的である反面、客観性確保や参加する関係者の代表制等の課題がある。また参加型評価において外部評価者は、従来型評価における査定者ではなく、ファシリテーターの役割を果たす。日本のNGOソルト・パヤタスがマニラ近郊で実施したプロセス型の教育支援事業の参加型評価に、筆者はファシリテーターとして関わった。評価プロセスを実施する中でスタッフを中心にエンパワーメントや改善効果が観察された一方、評価技術の不足や主観的に判断してしまう等の課題も見受けられ、ファシリテーターが様々な対応を行った。この事例からプロセス型事業における参加型評価の有効性及び、参加型評価の長所を活かし短所を補うための、ファシリテーターに求められる三つの役割の重要性が確認された。