抄録
本論の目的は「エクセレントNPO」基準の設計の工程および体系の構造を説明し、あわせて課題解決策としての評価のあり方を論ずることである。本基準は日本のNPOセクターの現状について危機感を覚えた実践者と研究者が策定したものである。すなわち、現状をデータ等によって分析し、望ましい非営利組織像を定義した上で、現在のNPOセクターにおいて最も重要と判断した「市民性」「社会変革性」「組織安定性」の3つの課題を抽出し、これを基本条件とした。この基本条件に基づき、評価基準体系の構造と工程をデザインし、工程にしたがって議論を進め33の評価基準を導き出した。したがって、本基準はNPOセクターの課題に対する解決案としての意味を有する。しかし、課題解決策として評価が機能するためには、評価自体をひとつのプロジェクトとして捉え、基準の普及をしながら、継続的な現状分析と利用者からのフィードバックなど不断の見直しが必要になる。