2011 年 11 巻 2 号 p. 2_45-2_54
行政評価なるものに取り組み始めて早19年が経過する。この間、様々な試行錯誤を重ねてきたが、その結果、当初に意図した総合計画を基軸とした行財政運営の仕組みの構築と、それを支える職員の成果指向型意識の醸成という点においては一定の前進を見たのではないかと自負している。
一方で、市民との関わりという点においては、評価結果を踏まえて、市民と課題を共有し、議論を深掘りするには至っていない。(このような反省もあり、7月には阪神間の都市で初めて公開事業レビューを実施したが)。実施計画の策定、予算編成などの作業プロセスの可視化も含めて、取り組むべき課題であると認識している。
その一つのツールが、自治体間ベンチマーキングではないだろうか。すなわち、行政評価の結果は、自らの自治体の、言わば成績表として自己評価されるが、その結果が、他の自治体と比較して優位にあるのか劣位にあるのか、また、その理由は何かというさらなる分析と公開を通じて、行政内部はもとより、市民の側も、望ましい税金の配分と業務執行の適正性を判断することができる。本稿では、本市の取り組みを辿りながら、ベンチマーキングの可能性について考察したい。