2020 年 20 巻 2 号 p. 33-48
日本においても、エビデンスに基づく政策形成(EBPM)が進められている。本稿では、Evidence-Basedに関する議論を概観したうえで、日本のEBPMの現状を整理するとともに、その評価を行う。日本のEBPMは事前分析やロジックモデルの作成に重点が置かれており、EBPMの本来的な意味からの逸脱がみられる。次に、Evidence-Basedが先行する医療等の分野との比較を行う。具体的には、問いの設定、エビデンスの創出、エビデンスの活用という3つの観点から、医療等の先行分野と政策の比較を行う。比較分析を踏まえて、EBPMをどのように捉えどのように進めていくことが望ましいかを検討する。具体的には、問いの設定の重要性や、エビデンスの範囲、つくる・つたえる・つかうのウエイト、エビデンスに対する需要創出の重要性等を指摘する。