2022 年 22 巻 1 号 p. 55-68
COVID-19の拡大によってエッセンシャル・ワーカーは苦境に立たされた。近年の公共サービス改革によって人員が削減されるとともに、実施部門の外部化や職員の非正規化が過度に実施されてきたからである。行き過ぎた改革の背景のひとつには、公共サービスの最前線で働く第一線職員の仕事ぶりについての評価の難しさがある。難しいがゆえに、改革では「外に出す」方向が模索された。しかし、コロナ禍で近年の改革が公共サービスの適切な実施を阻害し、サービスの受給者たる住民に悪影響を与えている原因だと判明した。ポストコロナの時代には、公共サービスを担う「ヒト」を中心に据え、政策だけでなく制度や資源といった管理の面からも公共サービスの改善を試みることが重要となる。政策と管理の結節点である第一線職員の仕事ぶりについて、人事評価を含めた行政管理の視点からアプローチし、管理のメタ評価やアカウンタビリティ確保についての広い議論と制度構築が求められる。