日本評価研究
Online ISSN : 1884-7161
Print ISSN : 1346-6151
ISSN-L : 1346-6151
22 巻, 1 号
選択された号の論文の6件中1~6を表示しています
特集:ポストコロナ時代の評価
  • 山谷 清志
    2022 年 22 巻 1 号 p. 1-2
    発行日: 2022/03/31
    公開日: 2023/06/01
    ジャーナル フリー
  • -危機管理と副作用に注目して-
    南島 和久
    2022 年 22 巻 1 号 p. 3-14
    発行日: 2022/03/31
    公開日: 2023/06/01
    ジャーナル フリー

     2019年11月にはじめての感染者が確認された新型コロナウイルス感染症(COVID-19)は、2年以上の歳月にわたって日本にも災禍を振りまいてきた。2021年9月の第5波の収束、緊急事態の終了宣言で本当にCOVID-19は終わりとなるのか。それともまだ続きがあるのか。現時点では十分に見通せない。かえりみれば、COVID-19は日本社会のあらゆる側面にわたって影響を与えてきた。とくに経済・財政面の影響には深刻なものがあった。

     本稿は、行政学の立場からCOVID-19に関する政府対応についてレビューを試みようとするものである。その際、本稿はとくに評価の前提となる政府活動―プログラム―の解明の重要性について言及する。

  • 林 薫
    2022 年 22 巻 1 号 p. 15-27
    発行日: 2022/03/31
    公開日: 2023/06/01
    ジャーナル フリー

     2020年度に3回目となる外務省ODA国別評価のレビューが行われた。これは毎年数件行われている国別評価のメタ評価という位置づけである。この調査を通じ、国別開発協力方針と国別評価のリンクが弱く、目標がどの程度、あるいはどのように達成されたかどうかの評価を行うことが困難であること、評価がもっぱら定性的な情報に依存しており、客観的な評価が困難であること、レーティング、サブレーティングなどの判断基準があいまいであることなどの課題が明らかになった。本稿では今回の国別評価のレビューの結果を踏まえつつ、改善策として、途上国のオーナーシップに基づいた成果重視の観点をより強調すること、相互アカウンタビリティーの視点を重視すべきこと、国別開発協力方針と国別評価がセオリーを共有すべきこと、評価において参加を重視すべきこと、これらを容易にするツールを導入すべきことなどを論じる。

  • 藤井 誠一郎
    2022 年 22 巻 1 号 p. 29-42
    発行日: 2022/03/31
    公開日: 2023/06/01
    ジャーナル フリー

     これまでの行政改革では、人員削減のためエッセンシャル・ワーカーたちを非正規化や民間委託化してきた。結果、不測の事態への対応力が乏しい公共サービス提供体制となってしまった。本稿では、これまでの行政改革を支えてきた「評価」に着目し、①地方自治体が取り入れてきた「評価」の変遷を把握し、②そこで行われていた「評価」についてメタ評価を行い、③エッセンシャル・ワーク評価を実質化させていく手段について検討した。

     住民に近いところで公共サービスを提供するエッセンシャル・ワークの評価には、「安心」「安全」を規準にしたプログラム評価を行い、そこで発生する問題や課題を発見して解決し、公共サービスが滞りなく提供できる状態を保てるように対策を講じていく必要がある点を指摘した。また、エッセンシャル・ワーク評価をプログラム評価へと変えていくために、評価者、被評価者、住民のそれぞれの立場で求められるあり方を提示した。

  • 岡 宏記
    2022 年 22 巻 1 号 p. 43-54
    発行日: 2022/03/31
    公開日: 2023/06/01
    ジャーナル フリー

     新型コロナウイルス感染症の感染拡大は、緊急事態宣言の発出を伴うなど、社会経済や国民生活に大きな影響をもたらし、多くの国民が心配ごとや困りごとを抱えることとなった。総務省行政評価局は、その受け皿として行政相談等を通じて情報を収集し、その解決の促進に取り組んだ。今回、その収集情報を基にコロナ禍における実情を考察した。また、感染拡大防止のために、「人と人との接触回避」措置(非対面化)が徹底された。これにより、総務省行政評価局が実施する行政評価局調査は、その性質上、各行政機関の実施状況を実地に調査するものであることから、調査の対象や手法は直接影響を受け、新たな対応が必要となった。そこで、このコロナ禍の1年間に、行政評価局調査の対象や手法について、具体的にどのような変化がみられるのかを概観し、考察するとともに、いわゆる「ウィズコロナ」下における今後の調査の在り方についても考察した。コロナ禍で調査の対象として急浮上した「非対面化」は、デジタル化の推進によって更に加速すると考えられる。

  • -公共サービスの改善に向けて-
    湯浅 孝康
    2022 年 22 巻 1 号 p. 55-68
    発行日: 2022/03/31
    公開日: 2023/06/01
    ジャーナル フリー

     COVID-19の拡大によってエッセンシャル・ワーカーは苦境に立たされた。近年の公共サービス改革によって人員が削減されるとともに、実施部門の外部化や職員の非正規化が過度に実施されてきたからである。行き過ぎた改革の背景のひとつには、公共サービスの最前線で働く第一線職員の仕事ぶりについての評価の難しさがある。難しいがゆえに、改革では「外に出す」方向が模索された。しかし、コロナ禍で近年の改革が公共サービスの適切な実施を阻害し、サービスの受給者たる住民に悪影響を与えている原因だと判明した。ポストコロナの時代には、公共サービスを担う「ヒト」を中心に据え、政策だけでなく制度や資源といった管理の面からも公共サービスの改善を試みることが重要となる。政策と管理の結節点である第一線職員の仕事ぶりについて、人事評価を含めた行政管理の視点からアプローチし、管理のメタ評価やアカウンタビリティ確保についての広い議論と制度構築が求められる。

feedback
Top