2022 年 22 巻 2 号 p. 83-95
本稿は、日本の地方自治体が会計情報や財務書類を用いて説明責任を果たす際、会計情報の整備に注力するあまり、情報利用者、特に住民に対する視点が不足している点を指摘するものである。欧米では、住民視点で地方自治体の予算を、COFOGと呼ばれる分類基準を用いて分かりやすく可視化する取り組みが行われている。本稿では、このCOFOGを用いることで住民目線に立つ会計情報が作成され、各自治体の会計情報の説明責任、および透明性の向上に寄与する可能性があることを考察する。その上で、今後の公会計改革への示唆を得ることを目的とする。今後、日本の地方自治体において、説明責任を果たすための公会計情報の整備が求められることを踏まえるとCOFOGに基づいて、住民視点に立つ細かな会計情報を用意することが必要となろう。このような会計情報が用意されることで、住民は、自治体運営の全体像を容易に理解できるようになる。さらには、住民の行政への参画を促進させることも期待される。