2009 年 9 巻 3 号 p. 3_29-3_39
新公共管理に対する解釈は定まっていないが、本稿では、新公共管理の特徴の一つとされている業績測定に着目し、新公共管理が日本の政府開発援助評価に与える影響について考察する。
日本の政府開発援助評価でも、業績測定の前提となる指標の導入が進められてきたが、この取組は一部のプロジェクトに限定され、モニタリングの導入はすすんでいない。そして、政策レベルにおいては、測定指標を伴う目標設定すらなされていない状況である。
また、業績測定のように、目標によって行政組織を管理しようとする動きはすでに1960年代に存在していることから、そもそも、業績測定を新公共管理の本質的な特徴とすることに対する疑問もある。我々は新公共管理のような曖昧な概念にとらわれるのではなく、より明確な管理概念の確立に向けた議論を行うべき時期にきているのではないだろうか。