日本評価研究
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特集:公共部門評価におけるNPMの影響
評価制度と教育のNPM型改革
青木 栄一
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2009 年 9 巻 3 号 p. 3_41-3_54

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抄録

本稿の目的は本人-代理人理論と政策共同体論を援用し、1990年代以降のわが国の教育領域における評価制度の制度化過程と評価制度の特徴を明らかにした上で、その改革の推進主体が教育の政策共同体を外部から統制する戦略を析出することである。
評価制度の制度化過程の特徴は、従来の教育改革の推進主体(中央教育審議会・文部科学省)とは異なる主体が主導したことである。
評価制度の特徴は、教育領域で進められているNPM型ガバナンス改革に適合的であり、公共サービスのコスト削減に寄与するものであった。評価制度はNPM型改革の主要なツールとして位置付いた。
新しい改革推進主体とは、教育改革国民会議、規制改革・民間開放推進会議のような官邸に直属した会議体である。これらの主体は教育の政策共同体を外部から統制するために評価制度に着目した。特に児童生徒や保護者というディマンド・サイドが関与する評価制度の導入を求めた。この改革戦略の背景には、財政危機、サプライ・サイドのパフォーマンス低下があった。
以上の帰結として、地方政府における初等中等教育の政策過程では、首長をはじめとする教育界外部のアクターが教育界に対して影響力を行使するようになった。

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© 2009 日本評価学会
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