2002 年 2 巻 2 号 p. 3-15
わが国の政策評価の起源は、改革志向の強い地方自治体にルーツを持つ事務事業評価に業績測定を加えた方式と (三重県)、中央省庁 (とくに旧通産省での「政策レビュー」) に起源を持つ方式と二つ存在する。この二つが整理されず、さまざまなところで錯綜しているため、わが国の政策評価はその特徴が両者の問で揺れており、一見、複雑な様相を呈している。ただし、その中に明確な特徴も見られる。たとえば内部評価・自己評価、事前評価の志向の強さ、予算編成と関連付けたいという意志、定性評価ではなく定量評価への傾斜、そして客観性への固執である。こうしたシステム設計の段階での特性が、わが国の評価をどういった方向に導くのであろうか。ここではこの問いに対する答えを予測するために、2002年現在提示された課題に注目する。すなわち、定性的評価の可能性、公共事業 (とくにビッグ・プロジェクト) 評価の方法、公平性という評価基準などである。もっとも、こうした課題を議論するためにはまず、研究者と実務家がどのように研究体制を組むのかという前提条件を整備する必要がある。