日本評価研究
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政策評価手法としてのジェンダー予算
村松 安子
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2004 年 4 巻 1 号 p. 4-19

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抄録
本論文の第1の目的は、世界でも新しく、日本社会にまだ定着していない「ジェンダー予算」概念を明確にすることである。その上で、ジェンダー予算分析の中でどのような具体的な政策評価の分析ツールが開発途上であるかを提示する。次いで、この分析手法が男女共同参画社会の形成という政策評価にどのように有効に適用しうるかを、理論的・実証的に検討する。この過程で重要になるのが、通常の予算編成の基礎となるマクロ経済分析モデルの枠組みを問い直す作業である。いわゆる「生産部門」の活動と「再生部門」の活動の接合問題である。ジェンダー予算分析と通常の他の予算分析の最大の相異は2つある。第1は査定の単位が世帯であると同時に個人であること、第2は社会の「総生産」を担う重要な生産活動である無償労働による「再生部門」の活動の意義を認め、真の生産の社会的効率性を問うことである。
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