抄録
本稿は、評価が自治体から自治体へと波及し、生成、実施されていく過程を分析することを目的とする。先行研究の検討から、波及・生成過程への寄与要因に注目した評価研究が新しいものであることを示し、全都道府県を対象としたイベント・ヒストリー分析と、10自治体を対象とした事例研究の結果をもとに、3つの知見を論じる。第1は、政治要因として、首長の熱意、行政改革の伝統及び政権交代の寄与が大きいこと、第2は、社会経済要因の寄与度は小さく、第3は、準拠集団という枠内での波及現象はみられない代わりに、全国規模での横並び競争が強力に機能していることである。総括すると、評価の波及と生成過程においては、全国的な横並びに加え、政治要因が重要であることが明らかになった。