抄録
全国的に「事業仕分け」が盛んに行われている。しかし、それが「不要な事業」を仕分けるための作業という以外、内容は不明確である。本稿の目的は、第一にその「事業仕分け」自体に一定の定義を与え、それが従来からの行政評価の評価項目の一つである「必要性」に焦点を当てたものであることを明らかにすることにある。また何故「必要性」に焦点を当てざるを得なかったのかも合わせて考察する。そして次に「必要性評価」に特化した「事業仕分け」が抱える課題、すなわち「仕分け基準」が不明確であることを述べ、その課題解決には「公的関与の必要性」基準の明確化と「政策体系に基づいた政策論」が必要であることを述べる。そして、実はそのことが、従来型行政評価が抱える課題の一つを解決することにも役立つことを示そうとするものである。