抄録
三重県が1995年から取り組んだ行政改革は、事務事業評価システムをその根幹に据えるという前例のないものであった。このシステムが自治体における評価の先駆となった。筆者は当初からその実務上の責任者として携わってきた。
本稿では、その誕生に至った要因と初期の導入過程を県庁の内部からたどりながら、パイオニアとしての苦しみについて実務体験を中心にまとめた。官僚組織に内在する組織的抵抗とそれを破ろうとする職員の変革力とのせめぎ合いがあったのである。官僚組織の病理現象の改善なくして、評価の実効は期待できないと考えている。