抄録
日本の公共部門における行政評価・政策評価の導入・普及において先導的な役割を果たしたのが都道府県である。現在では、すべての団体が種々の取り組みをしており、評価結果を活用する上で欠かせない客観性を確保するため、定量的な方法も様々行われている。しかし、定量評価の現状には、少なからぬ問題があることも明らかである。本稿では、都道府県における評価制度・システムの現状を踏まえ、評価の質や結果の活用に及ぼす影響が大きく、同時にまた定量的な方法一般の基礎に関わる3つの場面、(1) 業績測定におけるベンチマーキング、(2) 住民調査 (満足度調査とCVM)、(3) 公共事業の費用便益分析を取り上げ、典型的な問題を具体的に示し、解決のために何が必要かを考察する。