日本評価研究
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都市自治体の評価: 本格普及から10年後の実態
田中 啓
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2008 年 8 巻 1 号 p. 39-57

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抄録
日本の自治体評価は、その本格的な普及が始まってから10年余りが経過した。本稿は、その自治体評価の実態を把握することを目的とする探索的研究 (exploratory study) である。本稿では、筆者が実施した自治体評価に関する調査結果を利用して、都市自治体 (市・特別区) を中心に行政評価の実態把握を試みた。特に、行政評価の実施による成果や行政評価の抱える問題点の把握に主眼を置いた。その結果、現在の自治体評価は職員の意識変化や事務事業レベルの改善面では有効性を発揮しているものの、全庁的な資源配分の改善面ではあまり有効ではないこと、評価の質や職員の評価能力について問題を抱えている都市自治体が少なくないことなどが示唆された。本稿の分析を踏まえると、今後の自治体評価については「脱事務事業評価」「予算と評価の連動」「脱業績測定」という方向性が示唆される。このような方向性が実現するかどうかは、自治体自身の認識や取り組みのあり方のほか、評価研究者の貢献にかかっている。
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