家族社会学研究
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日本家族社会学会20周年記念テーマセッション2009 日本の家族社会学は今—過去20年の回顧
支援・ケアの社会学と家族研究
—ケアの「社会化」をめぐる研究を中心に—
井口 高志
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2010 年 22 巻 2 号 p. 165-176

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抄録

本稿は,家族介護研究を中心に,支援・ケアに関する研究の潮流を整理し,家族社会学としてのこれからの課題を明らかにする。介護保険制度などの,ケアの「社会化」を目指した制度の展開とともに,ケアや支援に関する社会学研究が盛んになってきている。本稿では,まず高齢者と障害児・者の家族介護を対象とした研究の中に,この分野の源流とその後の流れを探る。次に,1990年代以降のケアの「社会化」を契機に生まれてきた研究について概観する。それらの作業から見えてくるこの分野の研究の焦点の一つは,ケア提供者,受け手,家族外のケア提供者などの個人に注目して,ケアへの意識やケアをめぐるやりとりを明らかにしていく探索的研究の展開である。もう一つの焦点は,人間の親密性や市民としての権利のあり方を問う問題視角の展開である。

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© 2010 日本家族社会学会
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