2014 年 26 巻 1 号 p. 13-18
筆者が理事長を務めるNPO法人青少年就労支援ネットワーク静岡(以下,SSSNS)は,静岡県内において,静岡方式と呼ばれる,働きたいけれども働けない若者の就労支援手法を展開してきた.静岡方式は,ストレングスモデルに立つ精神障害者の就労支援手法であるIPSを採用して,リカバリーを志向するとともに,①就労支援のための場を持たない,②支援者は一般市民である,③お節介な地域を創るという特徴をもつ.働きたいけれども働けない若者とその家族は,脆弱なプライド(他者からの否定的評価を避けることにより,自らに誇りを感じることができる存在としてのアイデンティティ)を守ることを最優先にした「家族戦略」を取り,その結果として,孤立化しがちである.よって,若者の就労支援においては,この若者と家族の孤立化をいかに乗り越えるかが課題となるが,静岡方式はこの課題につながりを形成することで対処してきた.最後に,家族間連帯によって,お互いの家族の問題解決者となることで,家族の孤立化を乗り越えるという,家族戦略を提案する.