家族社会学研究
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特集 人口減少社会における家族と地域のゆくえ
人口減少時代の地域づくりと自治体行財政の課題
沼尾 波子
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2016 年 28 巻 1 号 p. 43-55

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抄録

人口減少・高齢化が進むと同時に,家族の機能と役割が変わりつつある日本では,子育てや介護などの対人社会サービスの確保が課題となっている.国や自治体は,保育所の整備や児童手当制度の拡充,在宅介護に向けた地域包括ケアシステムの構築を進めているが,自治体が限られた職員と財源の下で対応を図るには限界もある.子育てや介護などの機能と役割を公共部門に求めるのであれば,公的負担に対する国民の理解と協力が必要だが,負担増に対する理解を得ることが難しい.
これに対し,地域の多様な担い手との連携や,民営化による対応を図る動きが進められている.だがその取組みには地域差があり,普遍性を持つものではない.政府による財源確保と,国から地方への安定的な財源保障に加えて,地域における行政と住民との信頼関係構築が課題である.

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© 2016 日本家族社会学会
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