家族社会学研究
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特集 日本とアジアの家族―社会調査で捉える現状と変容
東アジアにおける家族主義と個人化——EASS 2006家族モジュールに基づく日韓中台の比較——
宍戸 邦章
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キーワード: 東アジア, 少子化, EASS
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2018 年 30 巻 1 号 p. 121-134

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抄録

「圧縮された近代化」が生じた東アジアでは,晩婚化・未婚化が進行し,出生率が急低下している.20世紀末以降,東アジアは極低出生率の状態を示し始めた.東アジアでは,未婚化・晩婚化だけでなく,世帯規模の縮小,単独世帯の増加,高齢者の子との同居率の低下,離婚率の上昇も生じている.これらの現象は,個人化として捉えることができる.本稿では,個人化の議論や東アジアの家族文化的背景を踏まえ,東アジア社会調査(EASS)に基づいて,日韓中台の比較分析を行った.分析の結果から,東アジアにおける「家父長制の型」は,2000年代後半における東アジアの家族やジェンダーのあり方に影響を与えていること,東アジアにおいてもジェンダー間不衡平論の状態が成り立つことを指摘し,東アジアの晩婚化・未婚化が生じるメカニズムを考察した.

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© 2018 日本家族社会学会
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