家族社会学研究
Online ISSN : 1883-9290
Print ISSN : 0916-328X
ISSN-L : 0916-328X
子どもと家族
牧野 カツコ
著者情報
ジャーナル フリー

1999 年 11 巻 11 号 p. 3-7

詳細
抄録

日本家族社会学会は1998年大会において、「子どもと家族」をテーマにシンポジウムを開催した。最近の子ども達をめぐる問題行動や非行、不登校などが、家族とどのように関連しているのかを明らかにすること、また、子どもの視点から家族の変動を考えることがシンポジウムのねらいであった。4人の報告者は、家族臨床の立場からの家族と子どもの問題の分析、現代家族の構造的な困難性、ジェンダーの問題、および親子関係の問題から報告を行った。報告においては、現代の家族が子どもの発達にどのような影響を与えているかを直接明確にするものではなかったが、近代家族そのものが子育てを困難にする構造であること、性別役割分担に基づき、子育てが専ら母親に集中している問題が明らかにされた。討論者からは、父親または/および母親による育児が子どもにどのような影響を与えているかについて明確にする研究やいくつかの理論を用いてモデルを構築する研究の必要性が強調された。討論は、家族に優しい職場環境の問題を含めて子育ての家族支援システムの必要性について論じられた。核家族はもはや一般的な家族形態とはいえないことから、どのような人間関係が子どもの発達にとって必要であるのかを明らかにする、理論的な研究が必要とされている。

著者関連情報
© 本論文著者
前の記事 次の記事
feedback
Top