音楽教育学
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研究論文
20世紀初頭のドイツにおける日本の学校唱歌
―R. ランゲとG. カペレンによる伊澤修二編『小学唱歌』第一巻の翻訳・編曲に焦点を当てて―
釘宮 貴子
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2018 年 47 巻 2 号 p. 37-48

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抄録

 明治期の西洋音楽受容については多くの研究が行われてきたが, 明治期に日本の学校唱歌が西洋に伝えられ, 和声付けされていたことについてはまだあまり研究されていない。本論文は伊澤修二の『小学唱歌』第一巻 (1892) が日本学者ルドルフ・ランゲと音楽家ゲオルク・カペレンによってどのように翻訳・編曲されていたのかを明らかにすることを目的としている。伊澤修二の『小学唱歌』第一巻は, 教育勅語の内容をわかりやすく歌で教えることを目的としていた。ランゲの研究論文「日本の小学唱歌」 (1900) の考察から, ランゲは伊澤修二の『小学唱歌』第一巻を深い理解に基づき翻訳していることが明らかとなった。またカペレンの編曲『小学唱歌 伊澤修二の日本の旋律』 (1903) の分析により, カペレンが日本の唱歌の旋律に複数の和音や, 複数の調性の可能性を見出し, 独自の和声付けを試みていることが明らかとなった。

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© 2018 日本音楽教育学会
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