音楽教育学
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研究報告
《山の音楽家》
─ その原曲の伝播と変容 ─
村尾 忠廣ゴチェフスキ ヘルマン奥 忍
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2021 年 51 巻 1 号 p. 36-46

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抄録

 《山の音楽家》はドイツ民謡だとされている。しかし, 原曲とされるシュヴァーベン民謡Ich bin ein Musikanteとは旋律もリズムもあまりに異なっている。本研究の目的は, 《山の音楽家》がドイツ民謡であるか否か, その根拠を問い直すことである。結果は次のとおりである。1) Ich bin ein Musikanteはドイツ国内も含め, 世界各地に伝播, 変容していった。2) その中の一つに, カトリックの歌集として収められたDer Musikantがあり, これが《山の音楽家》の旋律, リズムと極めて類似している。3) 《山の音楽家》は, このDer Musikantを元歌として編曲されたものであろう。4) 伝播の過程でいかに変容したとしても, 「私は音楽家, 楽器が弾ける」と宣言し, 色々な楽器を弾く真似をして歌うということ, これだけは決して変わることなく, あたかも強固な遺伝子のように受け継がれた。

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© 2021 日本音楽教育学会
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