音楽教育学
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研究論文
音楽を専攻する大学生の抑うつ傾向を高める要因の検討
─ 演奏不安, 自尊感情, 友人および主科の指導教員との関係の良好度に着目して ─
坂内 くらら遠藤 伸太郎大石 和男
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2022 年 51 巻 2 号 p. 13-24

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抄録

 音楽を専攻する大学生 (以下, 音大生とする) は抑うつ傾向が高いことが知られている。本研究は音大生を対象に, 演奏不安, 自尊感情, 友人および主科の指導教員との関係の良好度と抑うつ傾向との関連を検討することを目的とした。従属変数を抑うつ傾向とし, Step 1に統制変数として性別と年齢, Step 2に演奏不安, 自尊感情, 友人との関係の良好度, 主科の指導教員との関係の良好度, Step 3に自尊感情と演奏不安, 自尊感情と主科の指導教員との関係の良好度, 自尊感情と友人との関係の良好度, 主科の指導教員との関係の良好度と友人との関係の良好度, それぞれの交互作用項を投入した階層的重回帰分析を行った。その結果, 自尊感情と主科の指導教員との関係良好度と抑うつ傾向の間に有意な負の関連が認められた。このことから, 音大生の自尊感情が低い場合や, 主科の指導教員との関係が良くない場合は, 抑うつ傾向がより高まる可能性が示唆された。

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© 2022 日本音楽教育学会
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