音楽教育学
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51 巻, 2 号
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研究論文
  • ─ 家永教科書裁判を中心に ─
    山本 耕平
    2022 年 51 巻 2 号 p. 1-12
    発行日: 2022年
    公開日: 2023/03/31
    ジャーナル フリー

     本研究の目的は, 文部省と民間教育研究団体である「音楽教育の会」が, 音楽教育についてそれぞれの立場を主張している家永教科書裁判での証言に注目し, 「文部省と民間教育研究団体との緊張関係」という観点から「情操」概念が曖昧になる過程を描き出すことである。本研究では1968 (昭和43) 年の学習指導要領改訂の経緯及び「音楽教育の会」による学習指導要領批判の背景を踏まえ, 第一次訴訟における原告側証人の米沢純夫及び被告側証人の真篠将による証言を取り上げ, 次の点を明らかにした。まず両者には, 「基礎」, 「情操教育」といった音楽教育実践の点で共通する部分があったこと, そして文部省側は, 「音楽教育の会」の批判に応じる形で戦前・戦後の音楽教育が情操教育の点で連続していると認めていたということである。音楽教育における「情操」概念のもつ曖昧さは, 昭和40年代の文部省と民間教育研究団体との双方が求めた結果生み出されたものであった。

  • ─ 演奏不安, 自尊感情, 友人および主科の指導教員との関係の良好度に着目して ─
    坂内 くらら, 遠藤 伸太郎, 大石 和男
    2022 年 51 巻 2 号 p. 13-24
    発行日: 2022年
    公開日: 2023/03/31
    ジャーナル フリー

     音楽を専攻する大学生 (以下, 音大生とする) は抑うつ傾向が高いことが知られている。本研究は音大生を対象に, 演奏不安, 自尊感情, 友人および主科の指導教員との関係の良好度と抑うつ傾向との関連を検討することを目的とした。従属変数を抑うつ傾向とし, Step 1に統制変数として性別と年齢, Step 2に演奏不安, 自尊感情, 友人との関係の良好度, 主科の指導教員との関係の良好度, Step 3に自尊感情と演奏不安, 自尊感情と主科の指導教員との関係の良好度, 自尊感情と友人との関係の良好度, 主科の指導教員との関係の良好度と友人との関係の良好度, それぞれの交互作用項を投入した階層的重回帰分析を行った。その結果, 自尊感情と主科の指導教員との関係良好度と抑うつ傾向の間に有意な負の関連が認められた。このことから, 音大生の自尊感情が低い場合や, 主科の指導教員との関係が良くない場合は, 抑うつ傾向がより高まる可能性が示唆された。

  • ─ 保育者養成課程の学生を対象とした混合研究法を用いて ─
    甲斐 万里子, 藤尾 かの子, 五十嵐 睦美, 髙橋 潤子, 長谷川 諒
    2022 年 51 巻 2 号 p. 25-35
    発行日: 2022年
    公開日: 2023/03/31
    ジャーナル フリー

     本研究は, 子どもの目線に立った体験的な学習が, 子どもの主体的な音表現を促すための保育技術にどのように影響するのかを明らかにすることを目的とする。4年制の保育者養成課程に在籍する大学生168名を対象に, 子どもの立場で表現活動を実践させた上で, 5件法と自由記述による質問紙調査を実施した。表現活動は, グループに分かれて, 終始擬音語で物語が進む絵本の抜粋を解釈し, 楽器で表現するものである。各調査の結果, 学習者が, 子どもの立場で実践を行う有効性を「イメージの具体化と方略の発見」「素材に対する柔軟な視点の獲得」「支援の技術の伸長」の3点に見出すことができた。ただし, 保育技術を獲得するためには, 表現活動において, 学習者が十分に熟考し, 表現に納得できるだけの協働的な営みを実現させなければならないことも, 量的, 質的分析の結果の比較検討を通して明らかになった。

研究動向
書評
第52回大会報告
招待講演
(大会実行委員会企画)
(常任理事会企画)
プロジェクト研究
(共同企画Ⅰ) パネルディスカッション
(共同企画Ⅱ) ラウンドテーブル
(共同企画Ⅲ) ラウンドテーブル
(共同企画Ⅳ) パネルディスカッション
(共同企画Ⅴ) ラウンドテーブル
(共同企画Ⅵ) ラウンドテーブル
(共同企画Ⅶ) ワークショップ
(共同企画Ⅷ) ラウンドテーブル
(共同企画Ⅸ) デモンストレーション
(共同企画Ⅹ) デモンストレーション
(院生フォーラム)
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