2023 年 31 巻 4 号 p. 195-199
障害者雇用では多くの企業でトップからの方向性や目指す姿が明確でなく,採用・定着・育成の仕組みづくりも難しい.特に,精神障害者は個人差が大きく,職場側も対応できること/できないことがわかりにくい.また,公的制度・福祉サービスは本人支援を主軸としており,雇用する側の企業への支援は十分でない.このような課題を解決するためには,障害/疾病に関する専門知識や心理面接のスキルを持った心理専門職による外部支援が有効である.採用施策では,選考ミスマッチを軽減するために,障害や疾病に関する情報を十分に活用し,見極めの精度を上げることが大切であり,面接官をサポートすることで,適切な判断を促すことができる.定着施策では,トラブルが起こる前に課題を早期に把握し,本人支援と職場支援を行うことが大切であり,職場に対して障害者への配慮や指導方法をアドバイスすることで,トラブル未然予防の対策を行うことができる.