精神障害による労働災害は,請求件数・認定件数ともに増加を続けており,令和4年度は過去最高を更新した.そのなかで,精神障害にて長期療養者の社会復帰がなかなか進まないケースが増加しており,課題となっている.本シンポジウムでは4名のシンポジストにご登壇を依頼し,それぞれの専門的な切り口でこのテーマについてご講演をいただき討論を深めることができた.黒木宣夫先生には労災認定後の長期療養に関する調査のデータをもとに施策提言をいただいた.西脇巧先生には弁護士の立場から裁判例の提示とともに長期療養の影響や問題点,給付のありかたについての提言をいただいた.津久井要先生には長期療養となった労働者への臨床経験から個人的要因背景などから考察をいただいた.最後に桂川修一先生には長期療養者に対する効果的な社会復帰支援に関する研究について研究成果の紹介と提言をいただいた.