新型コロナウイルス感染症が契機となり,オンライン面接などITを利用したコミュニケーションが一般化した.さらにAIの発達にともない,チャットGTPなどの活用が飛躍的に発展している.産業精神保健の場においてこれら新たなツールの有用性と課題について経験の深い演者の講演を基に議論した.オンラインの方が話しやすい者,AI相手の方が相談しやすい者も少なくないと思われ,今後は産業医側の視点のみではなく対象者の視点からの検討が必要である.また,セルフケアとしてインターネットから情報を得ることは一般化しており,セルフケアと位置づければ情報技術の活用は大いに有用と考える.今後,「AI」と「人間」の特性,対象者がどのように認知するかといった視点など柔軟で多角的な検証を十分に行い,それぞれの役割分担,限界などを明らかにして,結果的に労働者にとって有用な活用方法を作り出していくことが重要と考える.