産業精神保健
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Print ISSN : 1340-2862
30周年記念シンポジウム 日本の産業精神保健の歩みと未来~日本産業精神保健学会の歴史から考える
日本の産業精神保健の歩みと未来
―草創期メンバーからの提言―
大西 守
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2024 年 32 巻 1 号 p. 18-22

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抄録

1980年頃から認識されたのが「他職種連携」である.一方で,精神科医と産業医,精神科医と心療内科医,医師と心理職・看護職との対立化が顕在化した.次に2000年頃から認識されたのが「多職種連携」である.職場では,産業医を頂点とするピラミッド型の構築が始まる一方で,常勤職と非常勤職員の対立構造が生じる.また,健康管理センター方式が主となり,疾病予防効果が強化される.そして,2015年頃から認識されたのが「多職種協働」である.お互いの役割を尊重しながら,産業精神保健活動を推進しようとするものである.理念は優れているが,実際には十分機能していない現状がある.背景には,各職種の使用言語,活動方法,目的・目標に相違があるからと考える.そこで演者は,以下の4つの視点を推奨したい.1つ目の視点は「事例性」と「疾病性」で,職域では「疾病性」が優先される.2つ目の視点は「こころ」と「からだ」の一元性である.3つ目の視点は「リワークプログラム」の積極活用である.コロナ禍の影響もあって,「リモートリワーク」の可能性が模索されている.4つ目の視点は「障害者雇用」である.法定雇用率が上がるなか,その達成には精神障害者雇用が不可欠である.

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© 2024 一般社団法人 日本産業精神保健学会
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