産業精神保健
Online ISSN : 2758-1101
Print ISSN : 1340-2862
30周年記念シンポジウム 日本の産業精神保健の歩みと未来~日本産業精神保健学会の歴史から考える
法人設立時理事からの提言
島津 明人
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ジャーナル オープンアクセス

2024 年 32 巻 1 号 p. 23-26

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抄録

本稿では,日本産業精神保健学会の法人設立前後の社会経済状況を踏まえ,今後の方向性について,3つの提言を行った.

第1は,こころのポジティブな側面への注目である.これまでの職場のメンタルヘルス対策は,メンタルヘルス不調に関する第1次~第3次予防を中心に展開されてきた.現在進行している働き方改革,健康経営,人的資本の開示などの動きを踏まえ,一人ひとりの強み,成長も視野に入れた活動を展開する必要がある.

第2は,仕事外の要因への注目である.製造業からサービス業への移行,情報技術の進歩,リモートワークに代表される働く場所と時間の多様化を踏まえ,ワーク・ライフ・バランスや休み方など,仕事外の要因も視野に入れた支援を強化する必要がある.

第3は,研究の学際化である.雇用・労働環境の変化,価値観や働き方の多様化,デジタル化が進展する中,職場のメンタルヘルス研究のさらなる学際化が望まれる.

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© 2024 一般社団法人 日本産業精神保健学会
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