動機づけ面接(以下MI)は,アルコール依存症患者の飲酒行動への介入から生まれた面談スタイルであり,行動変容ステージの「前熟考期」「熟考期」へのアプローチとして,そしてアルコール使用障害の治療法として認知行動療法と共に注目されている.MIはカール・ロジャーズと同僚が提唱した来談者中心療法の理論に基づいており,来談者に対処法を教えたり,認知を変えたり,過去を掘り返したりしない.その代わりに来談者が何を求めているのか,何を心配しているのか,どのような変化を望んでいるかに焦点を当て,お酒を減らしたいけど飲みたい,というクライエントの両価性の解消を目指し行動変容を促す面談である.MIのマインドセットとそのスキルは,アルコール問題の一次予防から三次予防やすべての健康づくりの取り組みに活用できる汎用性の高い面談スタイルである.