国民の睡眠に対する注目度が非常に高まっている.本稿では,睡眠の問題(睡眠時間,不眠症)と仕事の生産性および精神的健康の関連について疫学研究と認知行動療法の介入効果について文献レビューを実施した.睡眠時間に関しては,①6時間未満の者では精神的健康の悪化,生産性の低下が認められること,②勤労者自らが自分に必要な睡眠時間を把握することの重要性,③睡眠時間を確保するための工夫,について言及した.不眠症に関しては,①不眠症は慢性化しやすいこと,②重症度が高くなるほど精神的健康の悪化と生産性の低下が顕著になること,③認知行動療法の有効性,について言及した.睡眠は健康を支えるために最も重要な要素であることから,睡眠をケアすることは,健康的に働き,well-beingを高めることにもつながるだろう.