日本口腔粘膜学会雑誌
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口腔乾燥症患者における保湿ジェルの効果
山本 一彦仲川 卓範露木 基勝堀田 聡栗原 都井上 公秀前田 雅彦山川 延宏桐田 忠昭
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2005 年 11 巻 1 号 p. 1-7

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抄録
口腔乾燥症患者における保湿ジェル (オーラルバランス®) の有用性について検討した。対象は30例, 女性27例, 男性3例で, 平均年齢は62.5歳であった。これらの患者に対し保湿ジェルを1日4回2週間使用してもらった。保湿ジェルの効果は, 口腔乾燥とそれに随伴する自覚症状と他覚症状の Visual Analog Scale (VAS) 値の変化にて評価した。自覚症状VAS値平均の変化は, 口腔乾燥感 (p=0.0186), 飲水切望感 (p=0.0102), 味覚異常 (p=0.0320), 食物摂取困難 (p=0.0049) で有意差がみられたが, 唾液粘稠感 (p=0.4473), 口腔内疼痛 (p=0.0927), 口腔内灼熱感 (p=0.0781) には有意差はみられなかった。他覚症状VAS値平均の変化は, 口腔内乾燥 (p=0.0029), 口腔内潰瘍亀裂 (p=0.0104), 口角炎 (p=0.0089) で有意差がみられたが, 口腔内発赤 (p=0.0772), 舌乳頭萎縮 (p=0.0607), 歯牙口腔の汚染 (p=0.5885) には有意差はみられなかった。1日の使用回数は1回から4回とばらつきが大きかったが, 使用を中断した例はなかった。不快症状は4例にみられ, 軟便が2例, 他は胃部不快感と甘味に対するものが各1例であった。患者の総合評価は, 良くないが0%, ふつうが17%, やや良いが40%, 良いが23%, とても良いが20%であった。以上より, 保湿ジェルの使用は, 口腔乾燥症患者の乾燥症状の緩和と随伴諸症状の改善に有用であると思われた。
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